2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧
加藤楸邨 春陽堂俳句文庫より 賞味期限や消費期限が表示されるようになって、 人は、また少し鈍くなった。
飯田龍太 春陽堂俳句文庫より 私にはね、この句が名句なのかどうか、判らないのよ、 と言って、北村仁子さんは私の目を覗き込んだのだった。
橋本鷄二 句集『鷹の胸』より 写生です。でも、結局、言葉なのです。 言語表現なのです。
金谷信夫 句集『悪友』より 長い付き合いは、多くを望まないこと。 そして、ほんの少ししか与えないこと。
金谷信夫 句集『アイネクライネ』より 滅びの美学を語る人に限って、 まるで、傍観者のように見えてしまう。
上田五千石 春陽堂俳句文庫より 滋賀県の八日市でのこと。職人の置いた鋸の上に、降ってきた雪がひとひらひとひらと溶けていくのを、じっと見ていたことがあった。鋸の方が、雪よりも温かかったのだ。
浜中柑児 ホトトギス雑詠選集より 大津に泊まった夜、日本酒を飲んだ。 あの夜のように、日本酒は静かに飲みたい。
山口青邨 青邨俳句365日より 句会後のお茶の席でのこと。松村武雄さんと私が青邨のこの句の話をしていると、隣の席から登四郎先生が、それ、誰の句?
飯田龍太 春陽堂俳句文庫より 「そんなことを言ったって、あなた、私だっていつかは死ぬわ。その時だって、女よ」
加藤楸邨 蝸牛俳句文庫より 時代、という言葉は、ある世代を括ろうとする。 しかし、実際のところ、そうせざるを得ないのだ。 ※ この句に 2000/1/3 に付したメモを二つ ■ 昭和37年作。当時の楸邨は青山学院女子短大国文科教授。この学生妻は計算上戦中生まれ…
能村登四郎 句集『芒種』より 見続けて見飽きないものが三つある。 打ち寄せる波、降り続ける雪、泉の湧き出る処。
芥川龍之介 句集『夕ごころ』より 「かげ」と読ませる文字には「影」や「陰」の他に、「光」もある。 しかし、「闇」に「かげ」はなく、強い光自体にも「かげ」はない。
渡辺鮎太 句集『鮎』より 仮に、昨日のことであろうとも、 遠い昔は、遠い昔なのでした。
阿波野青畝 春陽堂俳句文庫より 道化師は、人を笑わせようとしてはいけません。 道化師は、生まれながらに道化師なのですから。
加藤楸邨 春陽堂俳句文庫より 雪が雪となる高さは、 落葉松の樹の高さより、本当は低いのです。
飯田龍太 春陽堂俳句文庫より 甲斐の国の稜線の神々しさは、 山々の裾野を見ることが出来ない所為である。
山口誓子 春陽堂俳句文庫より ヨオドホルムの黄の板状結晶も、 ヨオドチンキの褐色の壜も、それは少年の日の話。 ・・・隠微な世界の扉の匂い。
波多野爽波 句集『鋪道の花』より その刑務所の塀には、木々が描かれていました。 その木々はいつでも、青々としていました。
波多野爽波 句集『湯呑』より 恋は、眩しい。 但し、言葉の上で、だけれど。
飯田龍太 春陽堂俳句文庫より 愚かだからこそ、愚かなのである。 その愚かさこそが、愛する所以なのである。
飯田龍太 春陽堂俳句文庫より 恋を知らずには死ねない。 しかし恋は、死んでも知ることが出来ない。
市堀玉宗 句集『雪安居』より 老いても、雄は夢を見る。 死に際にも、雄ならば夢を見る。たぶん。
長谷川双魚 句集『ひとつとや』より 夢の中で犯された罪、その責任は誰が取るのだろうか。 少なくとも、私はそれを裁く側には居ない。
飯島晴子 句集『花木集』より 曾祖母の歌は、「お月さん幾つ十三ななつ」の繰り返しであった。 その曾祖母も、祖母も、母も、今は居ない。
市堀玉宗 句集『雪安居』より 雪達磨の頭の大きさは、その夢の大きさに比例する。 その故に雪達磨は、バランスが悪い。